October 2013Archive

 国際リニアコライダー(ILC)計画とは、世界最大の直線型高エネルギー粒子加速器と、そこに付随する基礎科学の大規模な世界研究所を誘致しようという計画である。この加速器は、全長約30km~50kmの地下トンネルであり、その中で電子と陽電子を光速近くにまで加速して正面衝突させ、宇宙誕生直後の状態を再現することで、物質の根源、宇宙誕生の謎に迫る。当社が福岡県・佐賀県から委託を受けて、リニアコライダーが地域に与えるインパクトと、これを活用した九州北部の国際研究都市のあり方を提案したということは、以前書いた

 それから1年が経とうかという3月、中学・高校の一つ下の後輩の岩木君から久しぶりに電話がかかってきて、食事会に誘われた。そこには学生時代からの知り合いの榎本君も来ていて、ILCの誘致活動を盛り上げ、九州の市民レベルの熱意を数として示すために署名活動を始めないか、という話であった。私もILC誘致のため、何かできることをしたい、という思いがあったので、二つ返事で共に活動していくこととした。

 その後、身近な友人達数名に声をかけ、「九州へのILC誘致を実現する会」が立ち上がった。メンバーは福岡、佐賀の20~30代の7名。仕事はイベントプロデュース、デザイン、通信・OA機器関連、広告代理店など様々。メンバーの中で最も実業とILCとの関わりがあったのが私で、それ以外は皆、「九州の未来のために」「夢があるプロジェクトだから」など、個人的な思いで集まった面々であった。

 署名活動の目的は「宇宙の始まりとされるビックバンを再現し、宇宙誕生の謎に迫る国際リニアコライダー(ILC)が、九州・脊振地域に設置されること」とし、活動期限は7月末まで。署名数の目標は10万人。集めた署名はリニアコライダー国際研究所建設推進議員連盟会長の河村建夫衆議院議員に届けるということでスタートした。そして3月28日、まず署名サイトと、facebooktwitterなどのソーシャルメディアアカウントを立ち上げた。予算は全くなく、マンパワーにも限りがあるため、HPはzero-tenのスタッフが立ち上げ、そのURLを各個人のソーシャルメディアアカウントを使って拡散していった。

 当初は「ILC誘致にご協力を」と呼びかけても、「ん?ILCって何ね?」「リニアモーターカーとどう違うと?」などと返されたり、ILCを知っている人は100人中2~3人かな、という感触で、署名数も伸びずに苦戦したが、5月に入ってから新聞やテレビでILC関連のニュースを目にする機会も増え、「ああ、新聞で見たよ」など、知名度が上がっていると実感することが多くなった。それに伴い様々な会合やイベントなどで活動をPRさせていただく機会を多くいただけるようになった。私たちの会のメンバーは様々な資料を読み込み、また客観的なデータの数々を共有し、「九州・脊振山地の方が北上山地よりも研究に適した生活環境であり、日本、世界の物理学の発展ためには、ILCは九州に立地した方が良い」と思い込んでいるので、プレゼンの場では言葉に熱い思いを乗せて説明することができたと思う。

 こうした場を重ねることで、共感し、支援していただける企業・団体も増えてきた。例えば、アビスパ福岡は、ホーム試合の観客全員に署名チラシを配ってくれ、スタジアムの中外で署名活動をする機会を2回いただいた。また、九州の経営者たちで組織される「博多21の会」は、HPに署名サイトへのリンクを貼っていただき、「博多21の会」主催の街頭署名も行われた。知人に署名用紙入りの手紙を何十通も送付してくれた方や、役所の中で署名用紙を回覧し、2000人の署名を集めた自治体、有志で約700人を集めた大学生、街頭署名に参加してくれた方々など、ここでは紙幅の関係で個別の企業・団体・個人名を挙げることは難しいが、本当に多くの方々に、署名活動に協力をいただいた。

いただいた35万の署名

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 6月に入ってからは九州経済連合会の篤いご支援をいただき、九州の金融・インフラ・建設などの中核企業に本格的に署名活動に参画してもらったことで、一気に加速。7月3日には上京し、河村建夫ILC建設推進議連会長に署名17万人を報告。

自民党本部に署名用紙を持ち込む 色んな意味で重かったです

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 そして8月10日は、7月末で最終集計した355,467人の署名を、ILC問題九州国会議員連絡会の代表世話人である原田衆院議員、今村衆院議員はじめとする福岡・佐賀選出の国会議員10名に引き渡した。また、有川九州大学総長、松尾九州経済連合会名誉会長、小川福岡県知事をはじめとするILCアジア-九州推進会議の方々にも立ち会っていただいた。


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 素粒子物理学の研究者で組織されるILC構想立地評価会議は8月23日に、北上山地がILCの立地に適しているという評価結果を発表した。この発表は私たちにとっては不本意なものであるが、私たちが街頭署名や、様々な勉強会や会合でILCの誘致活動についてお話する時間をいただいたり、いくつかのメディアでも取り上げていただく中で、ILCの理解促進・機運の盛り上げには微力ながら貢献できたかと思う。まだ政府としてはILCの誘致を宣言しておらず、政府として候補地をどこにするかも決定した訳ではない。また、立地評価会議の項目別の採点結果を見て脊振山地が優っている項目はほとんど無い、評価プロセスが一切ブラックボックスとなっており議論の経過が不透明であるなど、立地評価会議に対してお話をお聞きしたい点がいくつかある。現在は、この事実関係を確認中であり、35万人の声を預かっている立場として、政府決定までは誘致活動を継続していこうという話をしている。

 最後に、今回の活動では、本当に多くの友人知人、諸先輩方から励ましのお言葉やご協力をいただきました。個人で署名を集めていただいた皆様や、サポーター企業にご登録いただいた皆様にも、本来は直接御礼を申し上げるべきですが、まずはこの場を借りて報告させていただくとともに、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。

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