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 博多一風堂は、福岡市で創業し、世界に60店舗を超えるチェーンを展開しているラーメン屋である。今年春に創業者の河原社長から、ご自身のこれまでの半生と、今後の展開についてのお話をお聞きする機会があった。その際、如何に海外の飲食文化に適応していくかというご苦労についてのお話に関心を持ったので、NY出張の際には必ず一風堂に行ってみようと考えていた。

 一風堂のHPによると、2008年3月にNYに進出後、オープンからの1年間で20万人以上が来店、年商4億5000万円、日本のラーメン店として初めて「2009年版ミシュランNY」に掲載されたそうだ。NY滞在の最終日に、ディナーで一風堂に行こうかと店を訪れたところ、行列ができており「二時間半待ち」とのこと。凄い人気である。現地にお住まいの方に聞くと、この行列は毎日のことらしい。さすがにこれは無理だと感心しながらも、残念な気持ちで別の店に行った。食事後の帰り道、閉店間際の一風堂の前を通りかかり、無理を承知で「入れますか」と聞くと、「空いていますよ」との返事。さすがに腹は減っていなかったのだが、念願の一風堂NYということで、非常に嬉しい気持ちで店に入った。


何度か店の前を通ったが、いつも行列ができていた

一風堂.jpg










 のれんをくぐって店に入ると、右側に日本各地の108軒のラーメン屋の丼がディスプレイされ、その前にバーカウンターが設置されている。NYでは、店に並ぶときは店先のバーでお酒を飲みながら待つ習慣があるらしい。店の中は「ラーメンダイニング」というコンセプトで、インテリアも洒落ている。河原社長の祖父は日本画家、父親は美術教師ということで、ご自身も美的センスに溢れる河原社長。一風堂のロゴはご自分でデザインされ、店舗のデザインも監修しておられる。さて、メニューはダイニングというだけあって串焼きやサラダ、揚げ物などの単品メニューが多く、シメにラーメンを食べるというスタイル。ラーメンは日本でも定番メニューである「赤丸かさね味(Akamaru Modern)」や「白丸元味(Shiromaru Classic)」に加え、アメリカ人が大好きなオイスターから出汁を取り、豚骨スープと合わせて、チャーシューの代わりにアンキモを使ったラーメン「潮采(Shiosai)」という期間限定メニューもあった。ラーメンの価格は14ドルであり、チャージや消費税を加えると、日本のほぼ2倍である。


博多一風堂NYの限定メニュー「潮采」

一風堂 (2).jpg










 私たちのテーブルに配膳してくれた店員はイケメンの外国人であったが、日本に留学した経験があるらしく、日本語が堪能。「原材料は醤油以外全て現地のもの」だそうだが、海外の食材を使って日本と変わらない味を実現している。日本のお店の味をそのまま再現しているところが人気の秘密だそうだ。福岡で何度も食べたことがある「赤丸かさね味」を食べてみて、確かにスープの味は福岡で食べる一風堂の味と同じだと感じた。ただ、麺をすするのが苦手な外国人のために麺を短くし、レンゲを大きくして、麺をレンゲに乗せて口元まで運びやすくするなどの工夫をしている。


店員のユニフォームの肩には九州をかたどったロゴがプリントされている

一風堂 (1).jpg










 以前テレビ番組「ガイアの夜明け」で一風堂のシンガポール進出についてのドキュメンタリーを見たのだが、現地の食通を数十人集めて試食会を開催し、出た意見をもとにイスラム圏の食文化に合わせて豚を使わず、スパイスを効かせたラーメンを開発する様が映っていた。日本の食文化やデザインセンスの強みを核に持ちながら、現地の食文化や客の好み、生活様式に合った新しいラーメンを創造するマーケティング力は、ラーメン界のみならず、日本の飲食店の海外進出のモデルになるのではと感じた次第である。

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