December 2010Archive

  戦前のムラ社会では「困ったときはお互い様」という日常的な助け合いの関係性ができあがっていたが、戦後の高度経済成長期、地域から都市部に人口が移動し、コミュニティのあり方は変容してしまった。物質的に豊かにする上で効率の良い社会を作ったが、地域社会、かつてあった地域のつながりは分断された。このつながりを復活させる手法として、NPO法人グラウンドワーク福岡(以下GW福岡)と共同で「タイムバンキング」の可能性について研究している。今年度、国土交通省の助成をいただき、事例調査および八女市上陽町での実践を行う予定である。
  なお、タイムバンキングとはアメリカで生まれた考え方であり、基本的なルールは1時間の奉仕活動、お手伝いに対して、1タイムクレジットのやりとりを行うというように、お互いの助け合いを促す仕組みであり、全米で100近くの団体が活動している。 


●米国におけるタイムバンキングの資金源は個人や法人からの寄附金
 去る9月、GW福岡の齊藤さんと、タイムバンキング発祥の地アメリカでの運営事例を調査するため、ニューヨークに渡った(福岡空港→成田空港→ロサンゼルス国際空港→JFK国際空港と、24時間かけての長旅であった...)。次の日、NPO・NGOを広報面で支援する中間組織であるサラピス財団のエリック・オズモンド氏にお話を伺った。エリック氏は、米国の様々な地域でタイムバンキングを運営している団体の連携を図るため、関係者を集めて交流イベントを開催している。英国のタイムバンキングは、国や地方自治体、宝くじ財団からの補助金を活動資金としていたが、アメリカのタイムバンキング運営団体の多くは個人や法人からの寄附が資金源であり、サラピス財団も同様に寄附金を元手に活動している。日本と欧米では寄附文化が大きく異なるため、日本で運営する場合の財源確保が当面の大きな課題である。サラピス財団はマンハッタンの中でも高級ブランドや最先端なファッションの店が立ち並ぶSOHO地域に、複数のNPOとシェアする形でオフィスを構えていた。このオフィスが大変お洒落であった。ここ数年、米国の就職希望ランキング1位が株式会社ではなくNPOであるということは聞いていたが、米国におけるNPOの存在感を感じた。 


サラピス財団が入居する1階にはシャネルが入居するファッショナブルなビル
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●社会貢献活動の一環としてタイムバンキングに取り組む団体もある
 ニューヨークでは、訪問看護を行う非営利団体である「ビジティング・ナース・サービス・オブ・ニューヨーク(以下VNSNY)」にお話を伺った。VNSNYは社会貢献活動の一環としてタイムバンキングに取り組んでおり、従業員40,000人の中で、タイムバンキングに関わるスタッフは14名(フルタイムは7名)である。VNSNYでは、ディレクターのマシさんをはじめとしたスタッフの方々にお話をお聞きした。以下、マシさんからお聞きした話をかいつまんでご紹介する。

・VNSNYは2007年にタイムバンキングに取り組み始め、初年度の利用者は245人であったが、2010年9月現在では1,572名まで増加した。
・利用者は、名前、住所、生年月日、提供できるサービス等をVNSNYのコンピューターに登録しており、利用者はVNSNYに対して求めるサービスをリクエストし、VNSNYのスタッフがそれを提供できる人を検索するという仕組みである。
・タイムバンキングを介してやりとりされている活動は、教会や学校、病院、老人ホームでのボランティア、家庭教師、母親支援、翻訳、子どもの世話など幅広い。
・中国人街、メキシコ人街などではコミュニティの状況は良いとは言えない。また、言語が異なるコミュニティ間では同じビル内でも交わることが少ない。そこで、VNSNYスタッフがカラオケ大会を開催し、信頼関係を築く場づくりをしている。
・タイムバンキングを利用した履歴をコンピューターに記入しているのは、登録者全体の10%でしかない。しかし、実際は様々な助け合いがやりとりされており、確実に活動は広がっている。

 タイムバンキングは、かつてあったお互いの助け合いの行動を、目に見えるチケットやPCといったツールを使って復活させようという取り組みであり、「相互扶助の活動が行われているがタイムバンキングが利用されていない状態」というのは、この活動が目指すべき姿の一つだと思われる。マシさんはその状態のことを「嬉しい問題だ」とおっしゃっていたのが印象的だった。


VNSNYは多人種のコミュニティに対応するため、米国人に加えて中国人、メキシコ人など、スタッフの人種構成も多様
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●タイムバンキングの効果
 タイムバンキングには、地域コミュニティの活性化という効果がある。英国クリエイション・ディベロップメント・トラストのドーン・デイビーズ氏によると、「タイムバンキング導入以降、地域コミュニティが活性化され、居住環境が向上し、結果的に地価の上昇が見られた。また、人口流出に歯止めがかかった。」という。タイムバンキングと地価上昇の因果関係は分析の余地があるが、周辺地域の地価に対する市場の評価をみても、人口の推移を見ても、有効であると言える。
 また、タイムバンキングは住民の健康状態にも良い影響を与える。以前、NPO法人たすけあい遠州が運営する「もうひとつの家」を訪れた際、平均年齢90歳を超える高齢者の方々が時間通貨「周」をやりとりしており、大変元気に会話やゲームを楽しまれていた。聞く所によると、ここを訪れる高齢者で老人性認知症になった人はいないとのことであった。アメリカの政治学者R・パットナムは、地域住民同士の信頼関係やつながりを「社会資本(ソーシャル・キャピタル)」という指数で表しており、「社会資本指数が高い地域は、地域住民の健康水準が高い」 との相関関係を指摘しているが、袋井市の事例は、まさにこれにあてはまっている。繰り返しになるが、タイムバンキングは人と人とのつながりをつくる道具である。それが浸透することにより、地域住民にとっての住み良さや健康状況が向上する可能性もあると考える。 

●八女市上陽町でのタイムバンキングを試行する
 GW福岡のスタッフの方々と研究する中で、タイムバンキングの運営方式には、個人間の助け合いを主とする「個―個型」と、センター主催のイベントやボランティア募集に対してクレジットを発行する「センター型」の運営方式があるという話が出ていた。今年度は八女市上陽町でタイムバンキングの実証的な取り組みを行うのだが、タイムバンキングの仕組みを地域住民に説明し、参加者の輪を広げていくためには、最初はNPOの職員が中心となってイベントを開催し、住民に使う楽しさをアピールする「センター型」のスタイルを取り、徐々に個々のやりとりを増やしていく展開が望ましいものと思われる。使用するチケットは「環」と名付けられた。この名前には「めぐる」という意味の「環」や「~できる」という意味の「CAN」といった意味が込められている。農作業に対して「環」を配布したり、「環」を利用できる居酒屋等のイベントを通じて、環の利用の楽しさ、利便性を地域住民に体感してもらうとともに、課題を把握する予定である。
 八女市上陽町での取り組みは歩き始めたばかりである。今後、地域に根付くためには、仕組みの説明・普及活動、地域内で核となる人や場所の確保、運営資金など様々なハードルがあるが、上陽町での実証を通して、人と人とのつながりを復活させることができれば、タイムバンキングは地域社会における「豊か」な暮らしの一助になることができるのではないかと思う。


運営のスキーム
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尊敬する富士町の専業農家Mさん(58歳)のお話し。

農業はもちろん、スキーや料理、猪の解体などの達人。

とても奥さん思い。


●跡継ぎとして農業をはじめる。

農業は始めて47年、きっかけは農業高校卒業してから家が農家で後継ぎですからね、必然的に...ということです。佐賀農芸富士分校の農業課で3年間勉強してきました。その中で野菜部をたちあげ、トマトを種からまいたり、接木をしたりと、いろんな角度から研究してきました。そして卒業後、付加価値の高い農業をしなければということでまず、インゲン作りに取り組みました。


●インゲンから、ほうれん草、トマトへ。

最初はインゲン、ありとあらゆる路地野菜を作り、それからほうれん草の栽培を始めました。たまたまその時、茨城の筑波に研修に行くチャンスがあり、そこのほうれん草作りを見てきたときに、『これだ!』と。早速、機械を借りてきて栽培し、データを取り、この栽培方法は能力的、収穫的にもとても良いことが分かったんです。また、県の補助もあり、JA南山ほうれん草部会は飛躍的に収益を上げることができる野菜作りができるようになりました。ここまで行き着くまでにいろんな物を作りました。7年前にはブルーベリーを始め、5年前からはトマトのハウス栽培もやっています。


●自然にあるものすべてを使って栽培する

トマト栽培でのこだわりは、トマトを1本の苗木から2本の木を生やしていく、こうすると花がしっかりつくんですよ。そうしないと幹ばかり成長して実が付かないからね、あとは土作り。ヨシとかカヤなどの荒い素材を使って20年かけて作った土だから地力があり、水をやらなくても育つ、これが有機の土の力。もちろん除草剤は使ってないし、そのおかげでトマトの果肉がしっかりして、美味しいトマトができる。やっぱり土が命だね。 それと夏場の高温時期に対する環境作り、暑さ対策はとても大事です。

暑すぎるとトマトは花が受粉しなくなるのでやはり快適な環境作りが重要になってくる。これは他の野菜も共通で、特にほうれん草は冷たい水と土の力、あとは緑の風、風の力がとても大切で夏場の高温には山の谷間の風をうまく使わないと病気になるんだよ。

また農業はエコの典型的なモノと思っているよ。草を刈って飼料にする、冷たい水をかける、自然の風をあてる、冬場に気温がマイナスになることで害虫を殺して、野菜の甘みを出す、というように無駄な燃料や余分なモノは一切使わず、自然にあるものすべてを使って栽培するということ。こういう点で農業=エコだと思っている。


●土は農家の魂

一番大変だったのは台風で全部全滅したことだね。でもそれから復旧して、また土石流で土が全部流されて駄目になって復旧しての繰り返しだね。農業は自然が相手だからね、果敢にチャレンジすることが大事よ。

それとやっぱり、ほうれん草農家仲間が以前は120人くらいいたが嘉瀬川ダムや高齢化で今は30数名になってしまったことが精神的にはつらいですね、ダムで離農する農家の土は農家の魂だからダムの底に埋めるのは我々農家にはつらすぎると国交省にお願いしてその土を一トン車で運んだりもしました。

しかし、一方でここ数年、自分たちを見てきた若い農家が育ってきた喜びはあるよ。彼らが農業を本格的に取り組んでくれることが本当にうれしいですね、農業後継者との出会いがあり、その後、農業のサポーターとして帰ってきてくれることがうれしいですね。

あこがれでは飯を食えない、生活力がないと大変、それにはやっぱり自分たちの商品に付加価値をつけることが大切で、それを作るのも我々の役割だと思っています。商品作りとしては、野菜作りは物語づくり。土の物語、水の物語がないと商品は育たない。ぜひ食べてみたい!と思わせるものを今後も野菜に詰め込んでいきたいと思っています。


●これから

新規就農者の受け入れなど、町外から来る人に対して皆で連携して地域のサポーターとして地域を守っていきたいですね。人がいなくなることが一番寂しいから、緑の風が吹いて、人が来るようになるとことが一番いいですね。

「何も無いのが一番いい!田舎はイイね!」と住んでいる人がこの「宝の山里」に気づくことが大切。農家だけではなく、商工、観光旅館、林業そういうみんなの総合力が結集しないと地域の理想には近づけないと思っています。


このMさん、酔ったときのあだ名は「エロ観音」w


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ふじねっとHPより

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