August 2010Archive

 佐賀県情報課事業「富士町情報化ビレッジ形成プロジェクト」に関わらせて頂く機会を得て、富士町に入り出して10カ月が経とうとしている。この事業の目的は「地域情報化を通じて、富士町の暮らしの豊かさを向上する」ことである。そのために4名を新規雇用し、大きく3つの事業①ICT利活用能力の向上、②地域ポータルサイト構築、③特産品開発に取り組んでいる。また、プロジェクトが終了する平成23年度末には新たな法人設立を含め継続できる体制づくりをしなければならないというミッションが与えられている。


●地域に入って3ヶ月は、事業説明に追われる
 このプロジェクトにプロジェクト管理としての参画が決定したのは昨年の9月末であった。10月から人材の募集、面接を行い、元地場有力企業の経営企画室長や、元富士町古湯地区の公民館長、農業大学校出身で海外居住経験を持つ若手スタッフ、イラストが得意な女性スタッフなど4名を雇用した。
 今回の事業には、「情報化」という言葉はついているが、ねらいは地域活性化であるため、ICT技術に加え、住民や事業主体間の調整能力が求められる。また今回の事業は新たにビジネスを起こすという最終目標もあるため、人材雇用については、自主性・モチベーションの高さも兼ね備えていることがポイントであった。面接でお会いした方は50名以上になったが、ICT技術だけでなく、コミュニケーション力にも長けた方々に集まって頂いた。
 事務所は富士支所の3階を借りることができ、地域に入ったのは10月下旬であった。スタッフ4名のうち、地元古湯地区在住者は1名のみ。地域の方々にとっては、我々は完全によそ者である。また、地元にはまだプロジェクトの情報は伝わっていなかったため、町の方々から出るのは「何ばすっと?」「この町で新しくビジネスば起こすのは難しかよ」といった言葉であった。
 そこで、最初に始めたことは、まずは顔を知ってもらう、事業のことを知ってもらう活動である。自治会や温泉旅館組合、JA、森林組合等の町内の様々な会合に出させてもらうとともに、30カ所以上の事業所に対してプロジェクトの説明と同時にヒアリングを行った。ヒアリングには、県の担当者にも同行してもらった。担当者の方は地元から様々な意見が寄せられ、胃が痛い思いもされたと思う。しかし、頻繁に地域に足を運んでもらったことで、県の思いが伝わり、地元からの信頼を得ることができたと感じている。これと並行して、全戸へのアンケートによる問題や地元のニーズ把握、町内の統計の整理、町内の各団体、キーマン、人間関係の把握、歴史文化の勉強、イベントや行事への参加など、地域の情報収集と現状把握に努めた。


●より地元のニーズにあった事業へ
 全戸アンケート調査の結果、「日常生活における安全・安心に関する情報が欲しい」ということが重要課題であった。また、ヒアリングでも、「以前よく見ていた町営のケーブルテレビが合併で放映中止になり、地域情報が埋もれてしまった」といった意見も多く聞かれた。そこで、当初のプロジェクト企画をもとに、より町の実情にあった形に修正を行った。以下、3つの事業の進捗を簡単に紹介する。

①ICT利活用能力の向上(ICTをもっと身近に感じてもらうための取り組み)
 富士町は、平成22年4月まで、主要公共施設を除きブロードバンドが整備されていないという状況であった。昔ながらのダイアルアップ接続であったため、使いづらく、高齢化も進んでいることもあり、インターネット接続率は37%と県平均の45%より低かった。しかし、平成22年4月からブロードバンドが利用可能になったため、町民の方々が自ら地域資源を発信するチャンスや、地区外の子どもや孫とコミュニケーションを取ることも可能になった。環境が整えば、インターネットを利用したい人も増えることが予想されるため、NPOシニアネット佐賀の協力のもと、インターネットやパソコンの基本的な使い方を学ぶ講座を5回シリーズ(延べ20日)で実施した。また、NTTドコモと連携し、携帯電話の安全利活用講座や、ブログ講座も開催した。
 講座の参加者は平均年齢65才、最高齢82才、元気な高齢者の方々に多数の参加をいただいた。講座の御礼に、一升瓶いっぱいの柚子胡椒を頂戴したり、地元の方々と交流する大変良い機会になった。この他、日田観光協会事務局長を務める佐藤真一氏を講師に招き、店舗や旅館経営者向けのマーケティング講座を実施した。この講座では、地域資源の中で自分が魅力的だと思うものをワークショップ形式で出し合い、これを福岡都市圏住民向けのアンケートによって、認知度・関心・来訪意向を調べた。その結果の分析、今後の取り組みなどを4回にわたってこのマーケティング検討した。
 ここで出された取り組みは、今年度本格的に事業化する予定である。
 また、韓国や国内の地域情報化の成功事例を紹介し、地域情報化の気運を高めることをねらったシンポジウムも開催した。こういった町内での活動は、地元に我々の活動を理解してもらう非常に重要な場であり、信頼を得る一助になったと感じている。

②地域ポータルサイト構築:地域に密着したサイト構成へ
 町民アンケート結果をうけ、富士の情報発信の窓口となるポータルサイトは、観光客向けのページ「富士町のおもてなし」と町民向けのページ「ふじねっと」という2段構えの構成とした。 「富士町のおもてなし」には、町内の観光スポットの紹介、町民向けページには災害・犯罪などの緊急情報も掲載される。また、インターネットを利用してこれまでの人間関係が維持され、補完できるような役割を果たしたいという思いから、町民のブログコーナーやツイッターなどを取り入れた。

③特産品開発:既存の調査結果を特産品開発に取り入れた
 富士町には、棚田米、レタス、ホウレンソウ、山菜など素晴らしい食材と、これを活かした料理がある。そこで、これらの資源を使った特産品を開発し、それを目当てに町内に来てもらいたい、できれば通販でも買ってもらいたいと考えていた。何を開発するかと考えていたところ、以前、佐賀観光協会のアンケートをお手伝いした際に、古湯・熊の川温泉は、全国と比較して「朝食の評価が低い」という結果が出ていたことを思い出した。
 そのことについて、九州じゃらんの佐賀エリア担当者と話をしたところ、温泉旅館組合と協力して朝食メニュー開発を行うことになった。具体的には、富士町の棚田米(これは本当に美味しい)をもっと食べてもらうために、9軒の旅館と共同で「ご飯にあう朝食メニュー」として卵かけご飯やとろろご飯などを試作開発し、じゃらんの誌面やホームページにおいてPRを行った。温泉利用客へのアンケートは毎年行っているため、評価がどう推移するのか、楽しみなところである。


●地域資源を活かした事業化支援のノウハウを 積みたい
 このプロジェクトがここまで到達することができているのは、「地元が必要としているサービスは何か」を第一に考え、事業の組み替えを行ったこと、佐賀県からの様々なサポートがあったこと、町内の様々な場に顔を出し人的ネットワークを築いたことなど、いくつかの要因があげられる。中でも、最も大きかったのは、地元支所、本庁の支援を得られたことだと思う。合併により「支所」になったとはいえ、地域住民の信頼は大きく、支所抜きには物事は進まない。支所、特に支所長から「プロジェクトは、町として全面的にバックアップしていく」というありがたいお言葉をいただいてから、道が開けた様に物事が進み出した。
 今年の5月からは、町内の自治会、各種団体、NPO、行政からなる「富士町の振興を考える会」という協議会が立ち上がり、その事務局も務めさせてもらっている。今後は、協議会の支援のもと、地域資源を活用した観光商品の企画や活性化のアイデアを出し、町の方々と連携しながら実現していきたい。
 「地方にできることは地方で」という大きな流れの中で、国から地方への補助金や公共工事削減、地方交付税の見直しといった動きが進むとともに新たな企業誘致は望むべくもない。これからの地方にとっては、如何に「内からの創出・発信」をしていくかが重要であり、「地域資源を活用したビジネスの立ち上げ」のニーズは多い。地域に密着した事業化支援型シンクタンク、NPOの存在意義が増していると感じる。
 中山間地ではどこでもいえると思うが、資源は限られている。だがその一つひとつをよく見ると、素晴らしいものがたくさんある。また、地域に住む人達も素晴らしい人がたくさんいる。それらの資源ををどう共有し、協力体制を築きながら新たな魅力を作っていけるか、これからがプロジェクトの本番である。


初級パソコン講座参加者の平均年齢は65才
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パソコンサークルもやってます。
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富士町情報化シンポジウムを開催
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温泉旅館組合青年部、九州じゃらん、ふじねっとが共働で古湯・熊の川温泉旅館の朝食メニューを開発。
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朝食メニューの一品、旅館大和屋さんの卵かけご飯(富士町産棚田米を使用)。
三瀬村の小野寺さん家の卵に、こだわりの醤油をかけていただきます。
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富士町地域ポータルサイト「富士町のおもてなし」
http://www.fuji-net.jp/
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富士町の特産品の通販をはじめました
ご注文はコチラから→ http://www.fuji-net.jp/shop/index.html
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