西垣通「ウェブ社会をどう生きるか」

週末、とある県の地域情報化をどう進めるかというコンペを書いておりました。
このテーマは以前から興味のある分野で、関連したテーマの書籍を読んでいたので、読書感想文をいくつか書きます。

まずは西垣通さんの「ウェブ社会をどう生きるか」

僕は来たるウェブ社会については結構楽天的で、ウェブ上に知識や情報が増えれば増えるほど、グーグルが賢くなり、インターネットの使い勝手がますます向上して、我々の生活も豊かになるのではないかと。
しかし、これは自分にも言えることですが、ひとつのテーマを調べるときに、インターネットに頼りすぎな傾向があるのは確か。
ネットへの依存がますます強くなる世の中で、ウェブ上の情報の信頼性についての問題や、グーグルやアマゾンが他人の人生の履歴を把握することの怖さなどを自覚して、インターネットをどう使いながら生きていくか。
このテーマは、著名なブロガーの梅田望夫さん、小飼弾さん、池田信夫さんをはじめ、佐々木俊尚さんのようなIT系ジャーナリスト・論客の方々が様々なブログや書籍を通じて議論をされておりました。

そこへ届いた東大教授からの一言が、この一冊です。
本のタイトルからして重い。

本書の中で、筆者は、情報技術の最先端を理解し、アメリカにも留学している方だからこそ、安易なウェブ2.0礼賛への警鐘を鳴らしています。そもそも情報とは何か、というところから始まり、宗教や文化的背景から見たアメリカ的なものの考え方に裏付けられるウェブ2.0企業の戦略を読み、その波の中で日本社会がどのような方向性を目指せばいいのかという提言を行っています。

ウェブ2.0のロングテールビジネスは、中央集権型ではなく、一般市民発信型の社会への移行を推し進めていますが、その時代の中で、ウェブを利用して僕らはどのような「場」を形成すればよいのでしょうか。

そこで注目されるのが「地域情報化」であると筆者は書いています。
地域情報化とは、『簡単にいえば地域の住民が必要に応じてIT機器を使いこなし、主体的にコミュニティを作っていく実践活動』のことであり、これが望ましいウェブ社会建設の鍵を握るという考え方です。
例えば、地域SNSは、土地への帰属意識・郷土愛を高め、土地という存在をメディアにして、そこに地域独自のコミュニケーションを生み出す「場(社会システム)」が発生します。

また、グーグルのように、一つの企業が個人のアイデンティティを管理するのではなく、自分たちの人間関係情報は自分たちで所有し管理するという地域SNSの発想は、個人情報の取り扱いの面から見ても、説得力があります。

ただ、ウェブのメリットを活かすには地域でまとまるだけでなく、特定のトピックスやテーマを「メディア」にするなど、地域以外の次元でユーザーが交流する「場」をつくることが重要であり、それに成功すれば、新たなビジネスの展開も見えてくるのかもしれません。

筆者は、二十一世紀の日本の目指すべき姿として、『人口数十万の都市がしっかりした「極」となり、それらの住民同士がブロードバンド回線や高速輸送網を介してダイナミックに交流するという、「ハイパー多極分散国家」を目指すべきだ』と語っています。

都市・地域に関わる仕事をしている者にとって、実際の土地における問題を考えるだけでなく、ウェブ上の“地域(アイデンティティ)”のあり方を考えることは、今後の業務の方向性として面白いテーマではないかと思った次第です

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コメント(1)

じろー :

TITLE: 内容も重い
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ですが、
確かに考えさせられる議題ですな。

非常に便利になったネットだけど、
同時に真偽を確かめる目も必要になってくるね。

ま、たいした用に使用してないときも多いですが。

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